■ 分散分析の種類とG*Powerメニュー
G*Powerの分散分析用のメニュー(Statistical test)には選択肢がたくさんあるのでここで整理しておきます。分散分析の種類によって用いるべき「検定力分析」が異なるので、適切な項目を選ぶようにします。
通常用いる分散分析 「ANOVA: Fixed effects...」
・一元配置分散分析 メニューの表示「ANOVA: Fixed effects, omnibus, one-way」
・多要因分散分析 メニューの表示「ANOVA: Fixed effects, special, main effects and interactions」
要因(factor)が一つの場合(「一元配置分散分析」は解説済み→こちら)と、複数の要因がある多要因分散分析があります。
性別と居住地の二要因による二要因分散分析とか、性別と性格類型と信仰種別の三要因による三要因分散分析などが後者になります。複数の要因が互いに結びつき合うことによって影響している場合があり、一元配置分散分析とは異なって「交互作用 interaction」を考える必要があります。
共分散分析 「ANCOVA」 (analysis of covariance:共分散の分析)
・共分散分析 メニューの表示「ANCOVA: Fixed effects, main effects and interactions」
要因が性別や出身地(イ,ロ,ハ)などのように名義的であれば通常の分散分析で分析しますが、「1回目、2回目、3回目」(試験とか試薬とか、計測など)のように、同一個人によるデータが何回か状況を変えて計測されたとき、通常の分散分析ではなく「共分散分析」を用いる方が適切です。というのは、例えば、Aさん「10,12,15」というように三回のデータが、Bさん「15,18,19」などのように全体の数値が高いとか、Cさん「7,10,11」などのように全体の数値が低いなどの場合、本人の結果が三回の測定を通じて全体的に高いとか低いとかの傾向を考慮に入れることで、「1回目、2回目、3回目」という条件の効果がより適切に分析できることになります。
* 共分散分析は回帰分析と分散分析を組み合わせたような分析手法です。
反復測定の分散分析 「ANOVA: Repeated measures...」
・要因間の分析 ANOVA: Repeated measures, between factors
・要因内の分析 ANOVA: Repeated measures, within factors
・要因内×要因間の分析 ANOVA: Repeated measures, within-between interactions
→ 反復測定の分散分析
「被験者間要因:性別2水準、 被験者内要因:3期間の3水準」の設定例 (7/11, 2018追加)
「平均値の差のt 検定」では、「二つのデータに対応のない場合」(説明済み→こちら)と、「二つのデータに対応のある場合」とがあります。後者は、二つのデータが実は同一被験者が「1回目、2回目」のように二回計測されているため「対応のある場合」となっています。このようにt 検定は二つの平均値の比較ですが、例えば「1回目、2回目、3回目…」などのような複数の状況で同じ被験者(被検査者)を計測したデータの平均値を比較するときは、この「反復測定の分散分析」を使うことになります。言い換えれば「対応のあるデータについての分散分析」とも考えられます。
「要因間の効果の分析」(群間分散)と「要因内の効果の分析」(郡内分散)と「要因間と要因内の相互作用の分析」の三つの場合ごとに、G*Powerのメニューが分かれています。
このように三つの場合に分かれているのは、「要因間の効果」についての検定力分析、「要因内の効果」ついての検定力分析、両者の相互作用についての検定力分析というように、事前分析で割り出される「必要とされるデータ数」がそれぞれの効果について異なるためです。つまり、「要因間」に焦点化して研究を進めるのならば、「要因間の効果」についての検定力の事前分析に基づいて得られる「必要なデータ数」を参考にすればよいからです。
*「三つ以上の対応のあるデータ」、一般に「n個の対応のあるデータ」についての「反復測定の分散分析」では、「球面性の検定 test of sphericity」(「n個のデータ間の差」の分散に関わる検定)が出てきます。G*Powerの論文(英語)で設定方法が詳しく解説されています。
●「赤い四角」の部分をクリックすると解説が下にある「説明欄」に表示されます。
(最下行の説明欄をクリア)
* 3/11の東北関東大震災の余波のため作業が遅れております。
こちらの作業はともかく、被災地域での救出作業、避難所での医療や
生活物資の搬入作業などがスムーズに進むことをお祈りいたします。
(3/22,2011)
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