ダンスセムーブメント・セラピー体験版とは  


札幌ダンスムーブメント・セラピー研究所


2017年度、体験版は土日や祝祭日に行います。
おおよそ1ヶ月に1回程度のペースで実施いたします。

(5/23, 2017)

 ◆体験版について 2017年度 

 ここ数年、土日・祝祭日には、2名の協会認定ダンスセラピストがともに多忙であったこと、また、竹内実花BUTOH研究所のスタジオ「ぐう」でのイベントが重なったことなどの事情により、体験版をなかなか開けない状況が続きました。また、ダンスセラピー・リーダー資格に関心のある方も増え、資格取得のための講習会を開くことも多くなりました。
 そうした事情がありましたが、ダンスセラピーの体験版への参加希望があり、少なくとも一ヶ月に1回程度は実施する方向で進めてきました。ということで、7月になりますが「ダンスセラピー体験版」を開催予定となりました。8月の日程はまだ確定していませんが実施予定。その後、9月は夏休みとなるため、10月から秋期の体験版を予定しております。
 ダンスセラピー、あるいは心身の健康に関心のある方、あるいは身体心理的なアプローチに触れてみたい方などにお勧めのイベントです。どなたでもご参加いただけますので、この機会をどうぞご利用下さい。  内容については下記の「資料」をご覧頂ければと思います。
(5/23, 2017)


資料:体験版の内容について

 ◆体験版について 2013年度 

 札幌ダンスセラピー研究会(2002年開始)から数えて、札幌ダンスムーブメント・セラピー研究所は11年目に入りました。
 この十年ほどで大きく変わったことが二つほどあります。一つは、研究所の会員の方の多くが日本ダンス・セラピー協会認定の「ダンスセラピー・リーダー資格」を取得したこと。もう一つは、そうした流れの中で、研究所の活動の幅と深さが増してきていることです。

 「ダンスセラピー体験版」は、最初は本当に「ダンスセラピーを体験してもらう機会」でしたが、最近は、様々な身体心理的な体験を深めるための場になってきています。研究所の研修講座でダンスセラピー・リーダー資格が取得できるようになったこともあり、自分自身の課題をもって参加される方、活動している領域に関連したテーマをもって来ている方、専門的な活動にダンスセラピーの要素を取り入れるかどうかを考えている方など、様々な方が参加するようになってきました。もちろん、「ダンスセラピーって何だろう?!」ということで全くOKで大歓迎ですが、研究所も会員も一般の参加者の方もまた世の中もそれなりに成熟してきたようなのです。
 
 2013年度はこれまで通り「ダンスセラピーって何だろう?!」という基本的な内容とともに、参加者の方の関心に基づいて様々な内容をトライできる場として、あらためて体験版への参加をお誘いいたします。ご参加をお待ちしております。
(2013, 7/1)



◆体験版の内容


体験版は毎回2時間を基本としています。目安としては、最初に簡単な解説と導入、1時間半程度の実習と体験、そ して質疑応答から成り立って います。内容としては毎回同じように繰り返される部分と、その回ごとに焦点を当て、前回と異なる内容の部分とがあります。
したがって、ときによっては、動き方や踊りのようなことが時間の大半を占めることもあれば、「からだ遊び」と呼ぶ遊びやゴッコに近いようなレッスンが中心 になったり、あるいはリラクセイションやボディワークが中心となり、呼吸法や身体感覚の覚醒などに焦点が当てられることもあります。
ただひたすら、楽しく踊る…というのも良いのですが、それでは「ダンス」と呼べばよいので、特にダンスムーブメント・セラピーと銘打つほどのことではなくなります。そう している間に無視されていく「楽しさの反動としてのつらさ」とか、動き方に気を取られているうちに 見落としてしまうような無意識的な反応や思いなどの方がダンスムーブメント・セラピーの大事な要素といえるでしょう。
  • 誰にでもできる簡単な踊りで楽しむ
  • 普段しないような、身体を使った遊びや動きで楽しむ
  • 身体の使い方を良くするような簡単な体操やレッスンを味わう
  • リラクセイションのレッスンで深く安らぐ
  • 動きや踊りで人と関わることを楽しみ、味わう
  • モノや空気や空や地面と関わることを楽しみ、味わう
  • 学問的・理論的な説明に納得しながら、動きやありかたを楽しむ
  • 目や視線の使い方、聞き方などがからだに及ぼす影響を学ぶ
  • その他、試しに行ってみる面白い事柄やちょっとした冒険もあります。
◆ねらい
  •   「さまざまな踊りと舞いの意味」 
    「ダンスムーブメント・セラピー」と聞くと、いろいろなダンスのことを思い浮かべます。人によってはバレエやモダンダン ス、フォークダンス、日本舞踊やブレイクダンスま で実に様々です。しかし、ダンスの踊り方のレッスンというだけならば、専門の先生や教室などで「踊り方」のレッスンを受けると良いのですが、「ダンスムーブメント・セラピー」のレッスンでは、一体、何を練習するのでしょうか。
    それは、手の振り方や足の出し方や姿勢や構えといった「踊り方」を伝えようとするわけではないことは明らかです。もしもそういうことならば、「ダンス」の レッスンと呼べば良く、「ダンスムーブメント・セラピー」と呼ぶ必要はないのです。もちろん、姿勢や動き方などを説明することもあるとは思いますが、本当のねら いは「動き方」や「踊り方」ではないところにあります。
    ダ ンスセラピーのねらいの一つは、動くときや踊り舞うときの「心のありさま」にあります。楽しいこと、悲しいこと、情けないこと、つらいこ と、怒りに駆られたこと、苦痛にあえぐこと…。普通のダンスの中では体験することもないような様々な感情、そうした感情や心のありさまをふと味わうことに より、「こころ」を耕していくこと、そして「こころ」を育てていくことがねらいなのです。
    さまざまな踊りや動き方の中にある優美さは、こころの中の優美さや優しさや穏やかさを深めていくときの大事なきっかけとなることがあります。動きや踊りの中にあ る強さは、からだとこころの強さを確かめる大きなきっかけとなることもあるでしょう。しかし、既存の踊りは、あくまでもその踊りに特有な「踊り方」をもっているの で、そうした踊りの枠に囚われすぎてしまうと「セラピー」としての意味合いが薄れてしまうことが多いのです。不思議なことですが、「ダンス」やら「ムーブメント」やらにこだわると「セラピー」としての効果が得られない…という逆説的な落とし穴が待ち受けているものです。

    さて「ダンスムーブメント・セラピー」というと、「楽しさ」をイメージすることが多いと思います。それもダンスムーブメント・セラピーの大事な働きの一つですが、楽しさだけではない、ここ ろの中の様々な感情を巡り歩くことによって、「心が耕されること」「心が育っていくこと」、それがダンスムーブメント・セラピーの機能の一つなのです。
  •   「遊ぶということ」 
    「遊びの反対はなーんだ?」
    遊びの反対…というのは、仕事でしょうか?それとも、真面目ということでしょうか?答えはいろいろ考えられますが、ダンスムーブメント・セラピーという立場から考える と、きっと「固着」とか「創造性のなさ」などになるように思います。したがって、ダンスムーブメント・セラピーでいうところの「遊び」とは、「枠組みにとらわれずに、動 きや踊り等が自由自在に展開していくこと」に関わるものだといえます。
    型などをマスターするときには、反復練習して習熟していくのですが、「遊び」とは、習熟することではなく、その都度の思いや動きや音や光や風、あるいは他 の人からの声や関わりや、足下の床や地面の感じ、空気をはらんでいる胸の感じ、ビクッとしたからだの反応などなどに素直に影響されて、自分でも予想のしな いような動きやあり方へとどんどん進んでいくとき、目新しさ・驚き・清々しさによって心を洗われるような思いをすることがあります。そうしたときには、確 かに「遊んでいる」と思えるのです。
    こだわりなく、屈託なく、ものごとによって左右されてみることの愉快さ…とでも言えるでしょうか。普段、そういう意味で「遊ぶ」機会はひどく少ないのです が、ダンスムーブメント・セラピーの中では、動きやあり方を通じて、そうした「遊び」によって、心身の活性化の深まりが促進されるのです。
  •   「踊ることの本質」 
    「おどり」というのは、「楽しいから、愉快だから、嬉しいから、悲しいから…動く」ということが次から次へ と起こっていく有り様のことだと考えられます。 それに対して、決まった形や動き方を鍛錬して演じていくという意味での普通の踊りやダンスは、元々はそうした「心の動き」と「からだの動き」との自然な連 なりがあったものが、かなりの定式化と形式化とによって、一定のスタイルをもったものと考えられます。
    すでに別項で書いたのですが、競技ダンスや昨今のコンテストのためのヨサコイソーランはかなりの程度、スポーツ化した踊りだといえます。その理由は、勝ち 負けという概念や、自分自身や他人と比較して上手いとか下手だとか上達したといったような対比がつきまとうためです。言い換えると、勝敗を前提とした「競 技性」と、他者などの「対比性」があるとき、そうしたおどりはスポーツ化していると言えるのです。「踊るということを使ったスポーツの一形式」と考えると 分かりやすいものです。それにはそれなりの意味がありますが、ダンスムーブメント・セラピーが目指すものではないことは確かです。

    というのは、精神科のディケアなどでダンスムーブメント・セラピーを行うときに、しばしば、動けない参加者と 一緒にセッションすることがあります。体調が悪かったり、心理的な状況のために動き回れないようだったり、あるいは、病気やけがや薬の作用などで物理的生 理的にに動けない・動きづらい参加者は、ほんのわずかしか動かない・動けないことがあります。外から見ていると、本当に数センチしか動いていないような場 合も少なくないのです。しかし、そうした小さな動きを一緒に動いてみると、その人なりに一生懸命だったり、その人なりに楽しんでいたり、動くことを味わい喜んでいたりするものです。
    (精神科ディケアでは、「したくないときはしないで休んでいて良いです」という大前提で行っています。強制的に何かをさせるというやり方はしていません。 それでも、その人なりに意味が見いだせるときには、ちゃーんと参加して頂けるものです。そうした関わり合いのあり方の中に、実は「セラピー」としてのダンスムーブメント・セラピーの本質が見て取れるのです。)
    「踊 りの本質は、動きの大きさや素敵さにあるのではなく、本人がそうした動きや踊りを楽しみ味わっていることにある」と考えられるのです。
  •   「ボディワーク・心身への気づき」 
    リラクセイションのセッションの後では、身長が1-2センチほど高くなったり、首筋が伸びたり、腰がすっき りと伸びていたり、腕が楽に長くなっていたり、 肋骨や胸が自然なふくらみになっていたり、反っていた背中がすっきり伸びていたり等々の変化があります。しかし、不思議なことに最初のうちはそうした変化 があることには本人は気がつかないことが多いのです。「…何か違うなあ…」とは感じているようなのですが、どこがどのように変化したかを感じるのに必要な 程度にまで、からだの感覚が開かれていないためだと考えられます。
    頭部の変化に限ってみても、目の緊張が緩んで涙が出てきたり、アゴの緊張が緩んで頭痛や歯痛が減ったりなくなったり、唾液がたっぷりと出てきたり、呼吸が 楽になったり、硬い表情筋が緩んで穏やかな顔になったり等々の変化が起きます。そうした変化は自分では分かりづらいようなのですが、一緒にレッスンに参加 している人たちから、「首が伸びている!」「身長が伸びている!」などといった指摘を受けて、「あれー、本当ですか?!」ということが多いのです。そうし た良い変化が起きることには大きな意味がありますが、それと同時に、そうした変化が起きたことを感じられるまでに心身の感覚が開かれることが大事なので す。
    欧米でのダンスムーブメント・セラピーのセッションでは、こうした深いボディワークまでは、レッスンの中に組み込んでいないことが多いのですが、札幌ダンスムーブメント・セラピー研究 所では、「ボディラーニング法」と呼んでいるこのようなボディワークを、レッスンの中心においているのが極めて特徴的といえます。すでにお気づきのよう に、カルチャー センターなどで広く行われている「健康体操」的な内容や「運動療法」的な内容を主眼としているのではありません。もちろん、そうした効果があることはすでに分かっていることなので、あらためて「セラピー」と呼ぶまでもないといえます。。 (なお、体験版のレベルでは、どこがどのように心理療法的であるかについて詳しい解説は含んでおりませんので、あらかじめご了承ください。)
  • なお、体験版のレベルからは離れますが…
    リラクセイションのレッスンは、一見するととても簡単そうに見える内容ですが、誘導の内容やレッスンの組み立てや言葉がけの内容については、意識・無意識 に関わる心理学的な研究の成果を取り入れています。また、リラクセイションの段階が進んだときには、必要に応じて「心身のリセット」とでも呼ぶような深い リラクセイションのレッスンを導入することがあります。無意識的な反射や反応、それが痙攣だっりチックだったりなどの自律性解放的な動きも、ボディラーニ ング法および舞踏ダンスメソドの対象として取り込んでいます。  
  • 心身の疾病や障害とダンスムーブメント・セラピー(1/30,2008追記)
    「動くこと・踊ること」という実際の体験が、心とからだのあり方と豊かさを育てるために大きな意味を持っていること、そのことが最近の認知心理学、特に生態心理学と呼ばれる領域における「アフォーダンス」という概念から明らかになってきています。
    アフォーダンスという考え方は、こころをもつ「私」という存在が、自分自身の身体や周りの世界と実際に関わることについて、より深く理解する手がかりを与えてくれます。そうした研究の進展に伴って、「心身にさまざまな問題を抱えていたり障害を抱えていたりする中でも、豊かに生きていくこと」の大事さがあらためて見直されてきています。
    同様に、様々な病気の中にありながらも「豊かに生きていくこと」を探るという新たな試みが「メディカル・ダンスムーブメント・セラピー」という枠組みで盛んになってきています。(欧米ではガン患者をはじめ様々な疾病にある患者さんを対象にした指導が行われています。)

(C)札幌ダンスムーブメント・セラピー研究所 2006-2017